3:1 VS 1.5:1
人員配置「1.5:1」を標榜している施設では、
介護保険基準となる人員配置の「3:1」の施設と比べて、
どんな付加価値を提供しているのでしょうか?
入居者や入居検討者はどのような付加価値を期待できるのでしょうか?
これは、最低基準を超える人員配置をしている介護付有料老人ホームの経営者の皆様には、一度考えていただきたいことです。
介護付有料老人ホームは、介護保険の「特定施設入居者生活介護」という定額サービスが利用できます。介護保険法は、これらの特定施設に対して、人員配置の最低基準を守るよう定めています。最低基準の表記としては、「3:1」と表され、入居者3名に対して、看護職員と介護職員を合わせて1名の配置を意味しています。有料老人ホームの中には、これより手厚い介護を標榜して「2.5:1」「2:1」「1.5:1」などと表記している施設があります。
そのような有料老人ホームでは、その手厚い配置によって、最低基準以上の付加価値サービスを提供することを根拠として、その対価を取っています。それらの施設の重要事項説明書をみると、「要介護者等」に対して、特定施設入居者生活介護等のサービスを提供するため、介護・看護職員等を手厚く配置した場合の人員過配置サービス費を○○○万円としている・・・などと説明がされています。
この説明は、介護サービスを受ける入居者や入居検討者の立場から見ると大変にわかり難いものです。
それは、以下の点が、良くわからないからです。
- ① 最低基準の人員配置で具体的に、どんなサービスが提供されるのか?
- ② そのサービスによって、要介護者は何とか生活ができるものなのか。どのようなQOLが担保されるのか?
- ③ 「1.5:1」のように、最低基準に倍する人員配置をしている施設では、最低生活と比較して、どのようなサービスが受けられるのか?
このようなことがわかれば、入居検討者は付加価値に見合った対価を払うか否かという判断をすることが可能と思われます。
この③にある付加価値サービスがきちんと説明されて、最低生活よりも手厚いサービスが保証されるなら、入居検討者は納得して高い入居金も払うことでしょう。その結果、募集活動もしやすくなります。
実際の配置人員は、公表している数字より大きいのが普通です。実際値は退職、産休、育休などさまざまな理由で変動するため、公表値は実際値よりも控えめに設定しているからです。不当表示と言われないように、公表値の信憑性を担保するためです。このように、手厚い介護を人員配置で表現し、「2:1」よりも「1.5:1」の方が優れていると、数字で競い合っている限りは、人件費という原価ベースでの競争ですから、そこから得る利益は、上手くいってゼロか、多くはマイナスにしかならないのではないでしょうか?
これを「付加価値ベース」の競争にしなければならないと思うのです。お客様にどんな付加価値を提供するかを明らかにして、その対価を定めることです。そういう対価の決め方について、「合理的積算根拠」としてどのように説明するかという課題は残りますが・・・。その上で利益を生むには、より少ない人員配置で生産性を上げることです。生産性とは、インプットに対するアウトプットの関係です。生産性を上げると、その成果が利益になり、あるいは、スタッフの待遇改善の原資となることは言うまでもありません。
また、③のサービスを日々の日課表として、スタッフに示していないと、配置人員はいるが、稼働時間がどこで費消されてしまうか、わからないという結果になる恐れがあります。仮にも、そうなってからでは、利益を生むことは至難となるでしょう。
われわれのマネジメントシステムは、利用者が受ける付加価値サービスを、スタッフの仕事、スタッフの時間として「見える化」し、生産性を向上する検討が可能です。
介護ビジネスの一層健全な発展のために。
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