2019年度の厚労省予算概算要求は過去最大の31.9兆円。社会保障費の分野毎の内訳によれば、介護分野は3兆円。今年度当初予算比1,000億円増となりました。
介護業界・介護施設の生産性を訴えて来た私たちの立場で注目すべきは、介護・福祉分野の生産性向上の取り組みがどうなるのかということです。
介護関係では、どんな項目が記載されているのでしょうか?
効率的な業務分担の推進
・介護職機能分化等による先駆的生産性向上モデル事業
・介護事業所における生産性向上推進事業
テクノロジーの徹底活用
・介護ロボット開発加速化事業
・介護事業所でのICTを通じた情報連携化推進事業
組織マネジメント改革の推進
・介護事業所における生産性向上推進事業(モデル事業所での具体的取り組みの展開、ロボット活用の加速化)
・文書半減に向けた取り組み、ICT活用促進、生産性向上に向けガイドライン作成
シルバー新報(2018.8.31付)によれば、介護分野の「生産性向上の項目も多いが、決め手に欠ける」と。
これらをみて、以下のようなことが気になりました。
・ロボットやICTなど、「テクノロジー頼り」。手段に依存し過ぎ。
・主体となる施設の「モデル事業」とは、どんな仮説を検証するのだろうか。
私たちは、生産性向上の成否は、「生産性向上の果実を実らせたい施設側の意思(戦略)と組織マネジメントの確立」にかかっていると考えています。ロボットもICTもこれから最も活用しなければならない有効な手段だと思いますが、あくまでも目的達成の手段に過ぎません。その手段をどのように生産性の向上という成果に繋げるのか・・・そこには「施設の戦略的な意思と組織マネジメントの確立」が不可欠です。
生産性向上とは、一人当たりの付加価値を如何に高めるかという戦いですから、介護現場だけはなく、何より経営全体で付加価値の増大をはかる取り組みが必要になるはずです。例えば、高い入居率を維持するのは当然のことです。
私たちは、施設の戦略的な課題を定め、介護現場においては、日課表のムリ・ムダ・ムラの見える化、日課表の最適化というところから組織マネジメントの大切さを発信し続けたいと思います。