(1)無理な働かせ方をなくす
問題はどこから始めるかです。私たちは、まずは「介護スタッフにとってよし」から始めたいと思います。何となれば、介護スタッフが改善の主人公だからです。彼らが仕事に満足すれば、更に改善に取り組む主体者になるからです。
但し、その時に条件があります。それは「今の人員で」という条件です。「今の人員で改善にチャレンジする」と言う条件です。それは、人件費の増加を気にする経営者にも味方になってもらいたいからです。
さて、「介護スタッフにとってのよし」とは、以下のようなことでした。
・ 無理な働かせ方をなくす。
・ 散歩などご入居者から聞いた要望の一つでも出来るようにする。
・ あるいは、サービスを向上させるための研究活動やQCサークル活動の時間を取れるようにする。
などです。
他にも、介護スタッフの立場と希望には、キャリア形成や給与に関わる話もあるかも知れませんが、ここでは拡散しすぎないように、以上の話に絞ります。ここに上げたものは、全て時間の使い方に関する課題です。介護スタッフの稼働時間は一人8時間です。この時間を上手に使うことによって解決できる課題ということです。
まず、無理な働かせ方という問題です。
ここでいう無理な働かせ方というのは、介助の仕事が集中する時間帯に起こる無理のことです。あるいは、特定のラインに入るといつも積み残しの仕事がでるということもあるでしょう。また、反対にそれほどキツくないラインもあるのではないでしょうか?毎日、毎日、いつも、いつも休み時間もないということはないはずです。しかし、キツい時間帯やラインに入ったときには、こなすことが精一杯で、入居者の話に耳を傾ける余裕もなくなります。このような状態が続けば事故のリスクも高まります。
もちろん、標準動作や標準時間で一つのサービスを完結することができない新人スタッフは論外です。その人たちには少なくとも標準時間で介助を完了する動作をマスターしてもらわなければなりません。
ベテランの人たちにとっても、これは時間内に終えるのは無理だと言うラインや時間帯があるとすれば、これは介護スタッフ個人の努力や頑張りだけでは解決することは出来ません。仕事の割り振り方の問題ですから、これらは計画の段階でムリなくできるように配置しなければならないはずです。
我々のマネジメントでは、現状の介護スタッフが担当するライン(早出、日勤などの勤務区分)の一日の仕事の分布を「見える化」します。仕事の分布とは、どの時間にどのようなサービス需要があるかということで、サービス需要と供給のバランスがどうなっているかを見えるようにすることです。
サービス需要が集中し、介護スタッフの稼働時間が足りない状況が見えれば、何か手を打たなければならないことが明白になります。事前に打つ手を決めること。それが計画です。
以下、次回に続きます。
・ 散歩などご入居者から聞いた要望の一つでも出来るようにする。
・ あるいは、サービスを向上させるための研究活動やQCサークル活動の時間を取れるようにする。